ゆびまた⽂化、⽇本
「働く」道具として始まったはきもの
⽇本のはきものの歴史は、いつから始まったのでしょう。縄⽂時代後期(紀元前千年ごろ)の遺跡から、はきものと⾒られる⼟器がすでに発⾒されています。また、稲作⽂化が開花した弥⽣時代前期(紀元前二百年ごろ)の遺跡からは、⽥んぼで使ったと⾒られる三つの⽳が開いた⼀枚板の「⽥下駄(たげた)」が出⼟しています。台に残る⽳の跡からも、「はなお」に⾜の指を通して履く形状だったのではないかと推察されています。指でしっかりと「はなお」をつかむはきものは、前かがみの姿勢が多い農作業に適していたのでしょう。⽇本のはきものの始まりは、「暮らしを助けるための道具」でした。
「歩く」道具として暮らしの中に
平安末期から鎌倉時代の絵巻物を⾒ると、今⽇のような草履の形状をしたはきものを、⼀部の庶⺠が履き始めていたことがわかります。そして江⼾時代になると、庶⺠のはきものとして⽣活に定着し始めていったようです。しかし幕末期、洋靴が軍隊に導⼊されると、またたく間に上流階級へ普及。⼤正期には「洋」の字が消え、靴と呼ばれるほど私たちの暮らしに根付いていきます。
「整える」道具として。
便利な世の中になった今、はきものに新たな役割を。
便利な世の中になった今、はきものに新たな役割を。
⻑い間、指と指の間(指また)を使って「はなお」をしっかりと足趾でつかみ、⾜全体で歩くはきものが⽇本⼈の⾜元に寄り添っていました。しかし靴を履くことが当たり前になった現代、私たちの⾜に変調が。外反⺟趾や⽖の変形、靴ずれなど⾜のトラブルに悩んでいる⼈が増えているのです。
ここで少し⽴ち⽌まって考えてみませんか。歩きやすさ、便利さ、快適さを選び続けることは、⾜にとって、⾝体にとってよいことなのでしょうか。⼈間本来の機能が衰えてしまう⽂明は、正しい進化へと向かっているのでしょうか。ずっと⾃分の⾜で⽴ち続けているために、私たちが持っている、⾝体の⼒を取り戻すために。
今こそ、原点に⽴ち返ってみる時期が来たのかもしれません。
ここで少し⽴ち⽌まって考えてみませんか。歩きやすさ、便利さ、快適さを選び続けることは、⾜にとって、⾝体にとってよいことなのでしょうか。⼈間本来の機能が衰えてしまう⽂明は、正しい進化へと向かっているのでしょうか。ずっと⾃分の⾜で⽴ち続けているために、私たちが持っている、⾝体の⼒を取り戻すために。
今こそ、原点に⽴ち返ってみる時期が来たのかもしれません。